「鳶職に興味はあるけれど、足場工事職との違いがよくわからない」「神奈川県で鳶職として働くと、実際どのくらい稼げるのか」——こうした疑問を持つ25〜40代の転職検討者は少なくありません。求人票に書かれた月収と実際の手取りには差があり、キャリアの道筋も企業規模や資格取得状況で大きく変わります。この記事では、鳶職と足場工事職の職域の違い、神奈川県内での年収相場、1年目から5年目までのキャリアステップ、そして向き不向きの判断基準まで、現場を見てきた経験をもとに整理します。転職後のギャップを減らし、後悔のない選択をするための判断材料としてお役立てください。
鳶職と足場工事職の基本的な違い
鳶職は足場工事全般を指す職種の総称ですが、実務では足場工・重量鳶・型枠支保工鳶など専門分野が分かれており、給与とキャリアが異なります。
鳶職とは|建設現場を支える基幹職人
鳶職は、建設現場で最初に入り、最後に撤収する「仮設工事」の専門家です。建物本体を建てる大工や鉄筋工が安全に作業できるよう、足場や仮囲い、重量物の据付など、現場の「土台となる環境」を整える役割を担います。神奈川県内でも横浜市や川崎市の再開発現場、住宅街のリフォーム現場など、規模の大小を問わずあらゆる建設プロジェクトに鳶職が関わっています。
建設用語としての「鳶」は、高所を軽やかに移動する鳥の名に由来すると言われ、高所作業を担う職人の代名詞として定着しました。現場を見てきた経験では、鳶職なくして建築工事は成り立たないと言えるほど、建設業の基幹職種と位置づけられます。近年は労働安全衛生法の改正により、資格要件や安全基準が厳格化されており、専門教育を受けた職人の需要が高まっている状況です。
足場工事職との職域の違い|専門分野による分類
「鳶」と一口に言っても、専門分野によって仕事内容も習得期間も大きく変わります。求人票を見る際には、どの分野の鳶を募集しているのかを確認することが、入職後のミスマッチを防ぐポイントです。実際、現場を見てきた経験から言うと、足場工と重量鳶では扱う道具も体力の使い方も別物と感じます。以下に代表的な分類を整理します。
| 鳶職の種類 | 主な仕事内容 | 神奈川県の月収目安 |
|---|---|---|
| 足場工(足場鳶) | 鋼管足場・くさび足場の組立・解体 | 28〜35万円 |
| 重量鳶 | 機械・鉄骨など重量物の据付・運搬 | 32〜42万円 |
| 型枠支保工鳶 | コンクリート型枠を支える仮設構造 | 30〜38万円 |
| 鉄骨鳶 | ビル・工場の鉄骨組立 | 33〜45万円 |
初心者が最初に配属されるのは足場工が多く、そこから技術と経験を積んで重量鳶や鉄骨鳶へステップアップしていくのが一般的なルートです。神奈川県内では住宅・低層建築の需要が安定しているため、足場工の求人が最も多く、未経験者が入職しやすい分野と言えます。より詳しい業務内容や施工事例については、業務内容・施工事例はこちらもご確認ください。まずは自分がどの分野に興味があるのか、身体的な適性はどこにあるのかを整理してから応募することをおすすめします。判断に迷う場合はお問い合わせはこちらから現場担当者にご相談いただけます。
1日の流れ・働き方の実態
鳶職の1日は朝5時半集合・朝礼から始まり、拘束時間は10〜11時間が標準です。天候による中断や残業で月間労働時間が変動する点が他業種との大きな違いです。
朝集合から現場撤収まで|実際の拘束時間
鳶職の1日は、他業種に比べて「早い・長い」が特徴です。多くの現場で朝5時半〜6時に会社集合、そこから現場までの移動・朝礼・TBM(ツールボックスミーティング)を経て、7時半〜8時に本作業が始まります。TBMとは、その日の作業内容・危険箇所・使用機材を全員で確認する短時間の打合せで、鳶職の安全文化の要と言える取り組みです。
| 時間帯 | 作業内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 5:30〜6:00 | 集合・朝礼・安全TBM | 安全意識の確認 |
| 7:30〜10:00 | 午前作業(組立・解体) | 10時に小休憩15分 |
| 12:00〜13:00 | 昼休憩 | 現場近くの飲食店または車内 |
| 13:00〜17:00 | 午後作業・片付け・撤収 | 15時に小休憩15分 |
実質作業時間は8時間前後ですが、通勤・準備・撤収を含めた拘束時間は10〜11時間になるのが実態です。給与を「時給換算」で見ると、初任月収20万円でも実は工場労働者と大差ないケースがあります。とはいえ、経験を積んで技術が身につけば時給換算での上昇率は工場労務職より高い傾向があり、5年目以降で明確な差が出てきます。
季節・天候による働き方の変動
屋外作業のため、天候と季節の影響を強く受けるのも鳶職の特徴です。雨天・強風(概ね風速10m以上)・雷雨の場合は現場中止となり、その日は日給制の場合は収入が発生しないこともあります。月給制であれば影響は少ないですが、日給月給制の会社では月収が天候で数万円変動する現実があります。求人票の「雇用形態」と「給与形態」は必ず事前に確認したい項目です。
季節変動としては、3月〜11月の繁忙期は残業や休日出勤が発生しやすく、逆に12月〜2月は日照時間が短いため早期終了する日が増えます。神奈川県内では冬場でも降雪が少ないため、東北・北陸地方に比べれば通年稼働しやすいエリアと言えますが、それでも冬場の月収は繁忙期の80〜90%程度になるのが一般的です。年収を試算する際は、繁忙期の月収だけでなく年間の平均値で判断することが重要です。
神奈川県の鳶職キャリアパス|1年目・3年目・5年目の成長ステップ
神奈川県の鳶職キャリアは1年目20〜23万円から始まり、3年目28〜32万円、5年目35〜45万円へステップアップします。親方昇進は経験年数5〜7年が目安です。
1年目:基礎技術と安全意識の習得期
未経験入職の1年目は、月収20〜23万円が神奈川県内の相場です。この時期は「見習い」扱いで、材料運搬・工具準備・先輩職人の補助が主な業務になります。技術習得の順序としては、まず単管足場の組立基本、次にくさび足場の運用、そして高所作業のルール・墜落制止用器具(旧・安全帯)の正しい使い方を身につけます。
並行して取得が必要なのが「特別教育」と呼ばれる安全資格群です。足場の組立て等作業従事者特別教育、高所作業車運転特別教育、玉掛け技能講習など、法令で受講が義務付けられている教育を段階的に受けていきます。多くの会社では会社負担で受講できる仕組みが整っており、入職1年以内にこれらを取得することで、実質的に一人前の職人としての土台が完成します。1年目の離職率は概ね3割程度と高く、この時期を乗り越えるかどうかが分岐点です。
3年目:職人スキルの確立と給与アップの分岐点
3年目になると月収28〜32万円が目安となり、足場工事全般を自分の判断で施工できるレベルに到達します。この段階で、単に「作業ができる」から「後輩を指導できる」へと役割が変わり、チームリーダー・親方候補としての適性が判定される時期です。
給与アップの分岐点となるのが、技能講習系の資格取得です。足場の組立て等作業主任者、鉄骨の組立て等作業主任者、型枠支保工の組立て等作業主任者など、より上位の資格を取得することで、現場での責任範囲が広がり、給与に反映されます。現場で実際によく見るパターンとして、3年目で伸びる職人と伸び悩む職人の差は「資格取得への積極性」と「後輩への指導姿勢」に大きく分かれます。
5年目以上:親方・独立・企業昇進の選択肢
5年目以降は月収35〜45万円が目安で、大手企業での施工管理職に進めば50万円超も見えてきます。この段階でキャリアの選択肢が3つに分かれます。第一に「親方として現場を統括する道」、第二に「一人親方・協力業者として独立する道」、第三に「企業内で施工管理・営業へキャリアチェンジする道」です。
神奈川県は建設需要が安定しており、横浜・川崎エリアを中心に独立後の営業基盤を構築しやすい環境です。ただし独立には工具・車両・保険などの初期投資、営業力、経営知識が必要で、勢いだけで独立すると数年で廃業するケースも見られます。企業内昇進の場合は安定収入と社会保険の継続というメリットがあり、家庭を持つ職人には堅実な選択肢です。神奈川県内の各社の施工事例や規模感については業務内容・施工事例はこちらを参考にキャリア形成の参考にしてください。
神奈川県の鳶職年収実態|月収・ボーナス・手取りの内訳
神奈川県の鳶職年収は経験3年で320〜380万円、5年で420〜520万円が目安です。大手企業での施工管理昇進で年収600万円超も可能な業界構造です。
求人票の基本給と実際の手取りのギャップ
求人票に「月収20万円」と表記されていても、それは基本給のみの数字であることが多く、実際の支給額は交通費・安全手当・技能手当・現場手当を加えて25〜28万円になるケースが一般的です。逆に「月収32万円」と大きく打ち出している求人でも、残業代・皆勤手当・繁忙期の歩合を含めた最大額であり、閑散期には減額されることがあります。
| 経験年数 | 月収目安 | 年収目安(額面) |
|---|---|---|
| 1年目 | 20〜23万円 | 280〜320万円 |
| 3年目 | 28〜32万円 | 380〜450万円 |
| 5年目 | 35〜45万円 | 480〜600万円 |
額面から実際の手取りを計算する際は、健康保険・厚生年金・雇用保険・所得税・住民税の控除でおよそ額面の75〜80%が手取りになります。月収30万円なら手取り23〜24万円、月収40万円なら手取り30〜32万円が概算です。求人票を見る際は「基本給」「諸手当」「支給例」を分けて確認し、面接時に「閑散期の月収実績」を聞くことが判断のポイントになります。
企業規模・工事規模による年収差|大手 vs 中小 vs 一人親方
年収は企業規模でも大きく変わります。従業員100名以上の大手企業では月収35〜45万円、ボーナス2〜3ヶ月分、退職金制度・住宅手当・資格取得支援など福利厚生が充実しています。従業員10〜50名の中小企業では月収28〜35万円、ボーナス1〜2ヶ月分が目安で、代わりに現場での裁量が大きく、技術習得のスピードが速いという利点があります。
一人親方の場合は年収400〜700万円と幅が広く、営業力と受注状況に依存します。ただし国民健康保険・国民年金・労災保険特別加入の自己負担、車両・工具の維持費、税務処理などを差し引くと、実質手取りは会社員時代より下がるケースもあります。B社(中小)からA社(大手)へ転職して年収が上がった事例もあれば、逆にA社の給与体系が合わずC社(中規模)で伸びた事例もあり、企業規模だけで判断せず自分の働き方志向と照らし合わせる必要があります。
鳶職に向いている人の適性診断|5つの適性と向き不向き
鳶職の適性は高所作業への慣れ・柔軟な体・判断力・安全意識の高さ・変動する稼働への対応能力が求められます。1年以内の離職率は概ね3割程度と高い業界です。
鳶職に向いている人の5つの適性
プロの目で見た場合、鳶職として長く続けられる人には共通する適性があります。順に挙げると、第一に「高所への恐怖心が低い、または慣れる素直さがある」こと。第二に「柔軟性と機敏性がある体」を持っていること。細身でも機敏に動ける方が、筋肉質でも動きが硬い方より現場で重宝されるケースが多いです。
第三に「安全意識が高く、指示を厳密に守れる」性格。鳶職の事故は自分だけでなくチーム全員に影響するため、独断行動をしない協調性が必須です。第四に「体力の継続性」。瞬発力より、朝から夕方まで一定のペースで動き続ける持久力が求められます。第五に「チームプレーと素直さ」。先輩職人からの指導を素直に受け入れられる姿勢が、技術習得のスピードを決定づけます。この5つのうち3つ以上当てはまれば、鳶職として続けられる可能性が高まります。
早期離職につながる向き不向き|きつい理由の本質
逆に、早期離職につながりやすいパターンも整理しておきます。高所恐怖症が強く1年経っても慣れない、慢性的な腰痛を抱えている、単調な繰り返し作業への耐性が低い、朝5時半集合への生活リズム転換ができない、といった要素は入職後1年以内にギャップとして顕在化します。
また、「年配職人からの指導が厳しい」ことも早期離職の理由として挙がります。建設業界の指導文化は、他業種に比べて直接的・厳しめの表現が使われる傾向があります。実は、この文化に反発する若手が想像以上に多く、給与や体力面よりも人間関係で辞めるケースが目立ちます。事前に見学や体験入社で現場の雰囲気を確認することが、ミスマッチを防ぐ最も有効な方法です。神奈川県内での現場見学のご相談はお問い合わせはこちらから受け付けています。応募前の情報収集として業務内容・施工事例はこちらもあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 求人票の月収32万円は本当の支給額ですか
交通費・各種手当・残業代を含めた支給例であることが多く、基本給は22〜25万円程度のケースが一般的です。手取りは額面の75〜80%が目安なので、月収32万円なら手取り24〜26万円程度と考えるのが現実的です。
Q. 高所恐怖症でも鳶職を続けられますか
軽度であれば1〜2年で慣れるケースが多く見られます。墜落制止用器具・ヘルメット等の安全装備で不安は大きく軽減されます。どうしても克服できない場合は、地上作業中心の役割へシフトできる会社もあります。
Q. 親方になると年収はどのくらい上がりますか
経営努力次第で年収500〜700万円程度も見込めますが、工具・車両・保険等の固定費負担が増える点は考慮が必要です。企業内で施工管理職として昇進する道であれば、安定収入で年収600万円超に到達する事例もあります。
この記事を書いた理由
著者 – 株式会社NINOKOH
これまでお客様や求職者からよくいただくご相談として、「求人票の月収と実際の手取りが違って戸惑った」「朝集合が予想以上に早く体が続かなかった」「年配職人からの指導のギャップに驚いた」という声があります。事前情報の不足が早期離職につながっている実態を、現場で数多く見てきました。
この記事が、鳶職への転職を検討されている皆様にとって、期待と現実のギャップを事前に埋め、長く続けられるキャリア選択の一助となれば幸いです。神奈川県で足場工事のプロを目指す方のご相談をお待ちしています。
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